ねこやまローカボ日誌

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中学受験ブログ21 本当に念入りに生徒を観察した時、適切な褒め言葉を思いつく



本当に正しく生徒を観察した時、適切な褒め言葉が生まれる

 

褒める要素をじっと探す。

 

その目的で、生徒をじっと監視する。

成長した部分・必要な改善点、あらゆる要素を監視する。

 

その結果見えてくる、普段では感じられぬ恩恵。

生徒の行動を監視することの恩恵は、思わぬ洞察力が磨かれる。

 

そして得られる、生徒への効果的な褒め言葉

それは決して表面的ではない、心から揺さぶる要素になり得る。

 

 

これは一人の中学受験生と体験した、2年間の受験記録。

お時間のある際にでも、お読みいただければ幸いだ。

 

~ 過去のバックナンバー ~

 

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教えるポジションで生まれる、最悪の慢心

教えるポジションで生まれる、最悪の慢心

 

何を褒めればいい。

 

繰り返し私の頭をよぎる、ある疑問。

私はコウスケの行動に対して、何を褒めればいいのだろう。

 

良く言われるセリフ、褒めることがない

あざけりにも使われるこの表現が、頭の中を渦巻いた。

 

 

本来褒めるとは、できたことに対する評価。

つまり生徒の成長を評価し、それを端的な言葉で言い表す。

 

それにより、生徒のモチベーションを底上げする。

同時に講師が生徒を見ている事を、心の底から実感させる。

 

そんなロジックは100も承知。

それでもなお、私は褒め言葉が思いつかなかった。

 

 

しかしそれは、ただの超怠慢

私はその時点の自分の褒め技術を、完成形と勘違いしていた。

 

あらゆる講師が、完璧なわけがない。

講師であると言うだけで、生徒と何が違うものか。

 

いわば、講師試験を合格しただけ

この塾に入る知識を持っているだけの、ただの若者。

 

それだけで、自分の能力を最大限に引き出したつもりなのか。

褒める技術に対しても、自身の限界まで育てた気になっているのか。

 

いや、全く違う。

実際には、ただ机上のお悩み時間を設けただけ。

 

褒められるかどうか、実際に何もやっていない。

褒める要素がないかどうか、1時間すら実践を積んでいない。

 

 

私はもはや、コウスケと変わらない。

褒める技術を身に着けるため、私も同じく反復すべきなのだ。

 

もしかして褒められるようになるには、1000時間必要かもしれない。

それどころか、いつまでも褒める力は養われないかもしれない。

 

それでもなお、やるしかない。

それが効果的と言われるならば、単純にやるしかないのだ。

 

 

解決策は、もちろんある。

 

それは、褒めるために監視し続けること。

そのことは、十分理解していた。

 

その努力がなければ、決して自分の褒め力は増えないこと。

同時に褒めプロの先輩講師達も、同様の訓練を積んできたことも知っている。

 

その解決策を知っていても尚、行動したがらない。

これは講師も生徒も同じである。

 

解決策があるならば、あとはやるだけ

どんなに時間がかかろうが、必ず変化はする。

 

そんな基本に立ち返り、今一度振り返る。

教えると言う立場に慢心した、ただの23歳だと猛省しながら。

 

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監視を徹底し、一つの褒め言葉が生まれる

監視を徹底し、一つの褒め言葉が生まれる

 

できるまで、やる。

 

この基本事項を、私自身にも課す。

コウスケが身震いするような、最高の褒め言葉を見つけ出す。

 

もう鉛筆の回転が止まらないような、そんな褒め言葉。

今後最強の武器になるだろう、オリジナルの褒め言葉。

 

その力を、どれくらいの時間がかかろうとも習得する。

それによりコウスケの学習時間は、最高に効率化するだろう。

 

 

そしていつものように、コウスケの授業が開始した。

私はストップウォッチを机に置き、15分のカウントを開始した。

 

この時間は、コウスケが集中できる最大時間。

90分の授業で約5回、この時間を設定するのだ。

 

そして約2分間、コウスケと話をする。

この僅かな時間こそ、私が彼を的確に褒める時間である。

 

私はプリントを渡し、開始の合図を告げる。

そしてコウスケは、いつものように問題に取り掛かる。

 

 

そしてここからが、いつもとは違う。

私はレポート用紙をめくり、コウスケの様子を書き連ねた。

 

何かないか。

コウスケが成長した部分を、一つでも見つけられないか。

 

じっくりとコウスケの様子を確認し、書いている文字を見る。

何度も激落ち君で文字を消す姿を見て、感じる部分を咀嚼する。

 

問題文を口に出して読む、コウスケ。

いつも同じところで読み間違える、独特の音読方法。

 

そして計算式を、少し斜めに書き始める。

文字が右上に上がってしまう、彼の特徴である。

 

さらに問題用紙を、ぺらっとたたむ。

計算スペースを確保するための、彼独自の必殺技だ。

 

 

この様に彼の様子をじっと見て、成長点を探し出す。

とにかく15分の中で、私は褒める要素を見つけなければならない。

 

 

…ない。

 

何故ないんだ。

 

ないはずがない。

人は常に成長し、そして実力を着けていくものである。

 

これは確実に、私の監視能力の低さが原因なはず。

もっと見ろ。もっと過去の彼との比較を、脳で明確に実行しろ。

 

何度も繰り返し、彼の答えも確認する。

しかし30回近く解いた問題、答えは当然正解である。

 

ただ彼はまだ、公式を理解しきっていない。

そのため彼に、この問題の根本的な思考術を身に着けさせる必要がある。

 

探せ。

もっと探せ。

 

残り数分になっても、何も見つからない。

生徒に問題を解かせるだけで、こんなにも忙しくなるとは。

 

そして無情にも、ストップウォッチが鳴り響く。

15分の終了と同時に、コウスケはペン回しを始める。

 

 

何か言わなければ。

このわずか2分間の休憩で、私は彼を褒めなければならない。

 

もちろん無駄に褒めず、真実だけを褒める。

そのタイムリミットは、わずか120秒である。

 

まるでそれは、ボクシングのラウンド間

この間で適切なアドバイスを、私は選手に与えなければならない。

 

何か言え。

全力でコウスケの成長を、的確に事実だけ褒めろ。

 

 

「こ、こうすけ…。」

「あの…。」

 

キョトンとしたコウスケに、褒め言葉を絞り出す。

何故私は、初恋の相手への告白みたいになっているのだ。

 

 

「あ、あの…。」

 

「今日は計算の時、数字がずれなかったね。」

 

唯一見つけた、彼の成長点。

それはコウスケがいつも計算式の時、位がずれる点についてだった。

 

 

彼はいつも以下の様に、ずれた計算式を書く。

そしてそれにより、時に答えが相違する。

 

コウスケの計算式

 

しかし本日の彼は、少し違った。

まだずれているものの、以下の様な比較的綺麗な計算式を書いていた。

 

コウスケの計算式

 

ただ、これだけ。

私の初回褒め授業は、それを褒めるだけで精一杯だった。

 

何が講師だ。

私は彼の成長を、目視で確認する力も持たないのか。

 

そんな落胆を感じつつ、もう一度15分を始めようとした。

あっという間に経過する、たった2分間を使い切ってしまったのだ。

 

 

しかし。

 

その思わぬ効果は、すぐに現れた。

その私の拙い褒め言葉を、コウスケは全身で受け止めてくれた。

 

思わぬ喜びの表情を見せる、コウスケ。

その雰囲気は、まるで難関RPGをクリアした表情だった。

 

 

そしてそこから、彼の怒涛の説明が始まった。

休憩時間が約2分間しかないことなど、全く気にもせず。

 

 

実は学校のテストで、そのクセのせいで原因で失点したこと。

そしてそれがなければ、100点を取れていたこと。

 

さらにその反省から、自宅でお母さんと特訓したこと。

綺麗な定規を買ってもらい、線を引いてから解く練習をしたこと。

 

 

全てを嬉しそうに話すコウスケは、本当に生き生きとしていた。

それと同時に、私は心から驚愕した。

 

こんな褒め言葉でも、時に人には刺さるのか。

正しく褒めると言うのは、これほどまでに心に響くのか。

 

 

人の嬉しいツボは、無限にある。

そしてそれは、自身の変化に気づいて貰った時にも刺激される。

 

まだまだ成長を感じた、生徒を褒めるということ。

その力をひたすら伸ばそうと誓った、思い出に残る授業だった。

 

~ 次回22回に続く ~