ねこやまローカボ日誌

美味しいご飯を気にせず食べたい、食べさせたい。だから厳選ローカボレシピを紹介させて。

中学受験ブログ⑧ 担当講師のスランプと、ベテラン講師との受験方針の再設定



思考力を鍛える

 

自分の思考を、細かく考える。

 

今自分は何を読んでいて、何をしているのか。

問題を解く前段階である、正しい思考の方向を見極める。

 

一人の中学受験性から教わった、適切な思考アクション。 

それは大人になった今でも、私の生活を豊かに育ててくれる。

 

 

このお話は、前回からの続きである。

お時間のある際にでも、お読みいただければ幸いだ。

 

~ 過去のバックナンバー ~



 

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丁寧なだけの目的のずれた授業

思考の鍵を握る、今解ける問題

 

コウスケの課題完成度は、未だに向上しない。

しかしそれもまた、解けないことによる悪循環の一つである。

 

これから思考力を身に着け、問題を解けるようになるならば。

彼も必ず、課題をこなせる様になるだろう。

 

全く焦ることはない。

そう考えながらも、幼稚な私は黒板をびっしばし叩いていた。

 

 

しかしコウスケは、一切動じない性格だった。

一回りも年上の講師が激怒しようとも、リラックマのような表情をしていた。

 

そしてそのおかげで、私もまた冷静さを取り戻した。

怒ることの労力の無駄さを、10歳の少年に学んだのかもしれない。

 

 

そして本日も、いざ授業。

ここから始まる本格的な受験勉強を、共に歩もうではないか。

 

コウスケにそう伝え、もう一度小2の問題から取り掛かった。

彼が確実に問題に取り組める、ギリギリのボーダーラインである。

 

 

私はもう一度、指導方針を考えた。

これからどうやって彼を指導し、合格に導いていくのか。

 

まず私が最初にやるべきことを、再考した。

それは、コウスケに問題が解ける感覚を刻み込むことだ。

 

そして結果として、以下の方法に着地した。

これらの方法であれば、きっと結果は出せるだろう。

 

再考した指導方針

・偶然解けるのではなく、確実に解ける感覚を習得する

 そしてその感覚を忘れぬままに、少し数値を変更して再度解かせる

  

10×12=120が解けるなら、前の数字は、何をするものなのか

 もし前の数が11になるならば、どうして答えが変わるのか

 後ろの数と入れ替わっても、何故答えは変わらないのか

 その理由を説明できるまで、時間をかけてすり合わせる

 

・自分が解いている問題を、自分の口で解説させる

 出題意図を根本から理解させ、それを講師が見届ける

 

・時間はかかるが、最も効果的¥確実な方法であることを理解させる

 問題が解けるまで誘導し、後はひたすら繰り返す

 

・新しい種類の問題が出たら、その都度その思考方法を教える

 最終的には、あらゆる問題に対処できる状態を理想とする

 

よし。

この論理思考を教えよう。

 

ここまで細かく指導すれば。

きっとコウスケも一人で解けるようになるだろう。

 

 

そう意気込んだ私は、一つ一つの問題を細かく解かせていった。

時間をかけて一問ずつ、細かな解説を加えていった。

 

同じ問題を解かせ、答えを出させる。

そしてその都度数字の意味合いを確認させ、答えの根拠を確認する。

 

順調に問題数を重ね、100問近くの問題を処理できた。

これはイケる!と考えた私は、ひたすらその方法を続けて行った。

 

 

だがしかし。

 

私は気づいていなかった。

いくらその方法を繰り返しても、決して合格しないことに。

 

それを教えてくれたのは、背後で見ていたひとりの先生。

それは授業がないのに駆けつけてくれた、岸本先生だった。

 

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指導の限界と残り期間の逆算

思考の鍵を握る、今解ける問題

 

ずっと私の授業を後ろで見ていてくれた、岸本先生。

彼がおもむろに、私を呼び止めた。

 

「ねこやま先生

 ちょっといいですか?」

 

内心、かなりワクワクしていた。

なぜなら私は、岸本先生に褒められると確信していたからである。

 

岸本先生に教わったこと、理解しましたよ!

こんなにも丁寧に、生徒の立場で考えてますよ!

 

そんな言葉が、口からこぼれそうだった。

しかし今は、これから与えられる大絶賛を満喫しよう。

 

 

「良くその若さで、理解できましたね!」

「もうこの塾は、ねこやま先生がいないと赤字確実ですね!!」

 

これからどんなべた褒めラッシュが、私を待っているのだろう。

そして一気に昇格する私を、同僚たちはどう思うだろう。

 

もう我慢も限界である。

いざ、圧倒的な賞賛を浴びに行こう。

 

 

しかし、岸本先生の顔は険しかった。

ママモコモのごとく褒め言葉を求める私に、彼はこう言った。

 

 

「ねこやま先生

 その方法では、絶対合格できません」

 

 

私は、心からきょとんとした。

何を言うているのだと、その耳を疑った。

 

 

岸本先生曰く。

この指導方法には、圧倒的な欠落がある。

 

そしてその問題点を解決しないかぎり、コウスケの合格はあり得ないと言う。

その問題点とは、以下の通りだ。

 

付きっきり指導方法の欠落点
  • 受験までに指導する内容が膨大過ぎて、単純に間に合わない
  • 問題の処理数が圧倒的に不足しており、実践力に欠ける
  • その思考方法を使った、自宅で反復練習が難しい
  • 指導される前提で問題を解くため、生徒の思考力が育たない
  • 授業時間より、自習時間の方が圧倒的に長い。にも関わらず、自習時に思考を反復するための参照するものがない

 

この問題点を告げられ、私はハッとした。

 

確かに私の指導法には、莫大な時間がかかる。

そして同時に、一人で学習をする際のサポート役が存在しない。

 

教わった思考方法を理解しながら解けばいい、という意見もあるだろう。

しかし、彼らはそれが出来ないから塾に来ているのだ。

 

 

 問題を解けるのも、細かく講師が誘導してくれる授業内だけ。

それ以外の時間は、魔法が解けたようにいつものコウスケに逆戻りである。

 

一見論理的で有効に見える、丁寧な指導方法。

しかしそれは、あくまで論理的な思考力を吸収できる上位生徒に向けたもの。

 

結果的にこの方法は、ただの丁寧な授業

自身の思考力を養う方法ではなく、ステロイドのごとく一過性の効果なのだ。

 

 

またしても振出しに戻ってしまった、コウスケとの授業。

楽しそうに小2の問題を解く彼を横目に、私は再度絶望した。

 

~ その⑨に続く ~