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ねこやまローカボ日誌

美味しいご飯を気にせず食べたい、食べさせたい。だから厳選ローカボレシピを紹介させて。

~快適雑記~ 子供に勉強を教える時、同じことを繰り返させる方法っていいよね(その⑩)



何も教えない、同じことを繰り返す

 

何も教えない、同じことを繰り返す。

 

教えたくなる気持ちをグッと抑え、子供の思考回路を作る。

その工程は決して楽ではないが、着実な成長に繋がる。

 

 進学塾講師として、生徒に伝えらえること。

それは決して、莫大な知識と複雑な啓発術ではない。

 

このお話は、前回からの続きである。

お時間のある際にでも、お読みいただければ幸いだ。

 

~ 過去のバックナンバー ~


 

 

 

問題回答中の監視の副産物

問題回答中の監視の副産物

 

ただひたすら、問題を解かせる。

そしてその問題は、コウスケがギリギリ解けるレベル。

 

気を抜けば出題意図もつかめず、回答できない。

しかし少し考えれば、答えは必ず見つかるレベル。

 

複雑な公式を使うわけではない。

それは四則計算をベースとした、日常に存在する計算式ばかりである。

 

 

大量の林檎を購入させられる、小学3年生の男の子。

理由もなく湖を周回する、マラソンマニアの兄弟。

 

弟を置いて一人で学校に向かう、ペースの落ちない兄

そしてそれを猛追する、怒りにまみれた弟。

 

そんな受験算数の基本を、ひたすら回答させる。

ツッコミどころの多い問題達を、何も説明せずにただ解かせる。

 

 

ボケたい。

この問題を使って、ボケたい。

 

しかし私には、そんなワガママは許されていない。

私の仕事は、コウスケの思考の糸を切らさぬことだけである。

 

 

そして彼を監視しているうちに、分かったことがある。

 

問題を解いていると、コウスケは必ず止まる。

それは最初不規則だと思われたが、どうやら一定のパターンがあるようだった。

 

 

一つ目は、問題文に漢字があった時。

意外にも算数自体ではなく、彼は漢字が読めていなかったのだ。

 

そのため私は、彼に漢字ドリルを与えた。

国語の先生に伝え、算数で扱う同じ学年の問題集を与えていただいた。

 

 

そして二つ目は、細かな文字や写真があった時。

どうやら彼は、目が悪いことを隠していたようだ。

 

この解決策は、少し躊躇した。

なぜなら小学5年生は、メガネに対して異常な嫌悪感を持っているから。

 

ガリ勉君のイメージがあるのだろう。

事実他の小学生の生徒たちは、メガネの着用を高確率で拒絶しまくっていた。

 

 

しかし、この点は何も気にしないコウスケだ。

次の日にはメガネを買ってもらい、平気な顔をして授業に訪れた。

 

「ごはんですよの人みたいだね」

そんな私のからかいも、彼は褒め言葉だと思いニコニコしていた。

 

 

そして最後の問題点。

それは、単純に問題文が長い時だった。

 

彼は生来、生粋の怠け者のイメージだった。

しかし実際には少し異なり、極端に文章を読まない性格だったのだ。

 

彼の読解の限度は、約100文字

それを超えると、一気に読みたくなくなるようだった。

 

この問題を解決するために、私は文章を分割した。

半分だけ読んだら、別の問題を先に回答させた。

 

そして再度先ほどの問題に戻り、問題文の続きを読ませた。

もちろん少し忘れてはいるのだが、それでもなお最後までしっかり読み切れる。

 

するとどうだろう。

彼は他の問題と同様に、長文の問題でも回答できたのだ。

 

 

彼が悩んでいたのは、算数の問題だけではない。

漢字力・視力・読解集中力の3つが、彼の算数を妨げていた。

 

段々と見えてきた、コウスケの攻略法。

コウスケの解答を監視することが、こんなにも多くの副産物を持つとは。

 

 

 

ジワリと変化する、思考回路

ジワリと変化する、思考回路

 

段々と、他の受験生と同じステージに立ち始めた。

そんな気がしてきたのは、同じ内容を繰り返して2か月目だった。

 

それまで私は、徹底して同じ内容を繰り返させた。

小学4年生のドリルを、ボロボロになるまで与え続けた。

 

結果として、当然答えすら覚える。

問題を見た瞬間に、ある程度の答えが脳裏に浮かぶ。

 

それほどまでに、私は同じ問題を与え続けた。

その回数は、覚えている限りでも30回は下らないだろう。

 

 

狡猾な生徒なら、恐らく答えをいきなり書くだろう。

それは治療の必要な最大の悪癖として、非常に厄介な性格である。

 

 

しかし問題に取り組むコウスケは、意外にも毎回キチンと問題を解いている。

それは見ていれば分かるし、彼自身、問題文を口に出して読んでいる。

 

そしていつものように、100点を取る。

その100点を見て、ビリケンはんの様にニコッと笑顔になる。

 

 

このレベルになった時、岸本先生がブースを訪れた。

どうやら最初の関門を、私たちは突破したようだ。

 

 

「ねこやま先生、お疲れさまです」

「コウスケ君、すごく順調ですね」

 

岸本先生からそういわれると、最高に嬉しくなった。

私たちの方針は間違いなかったのだと、神に印をいただいた気分だった。

 

 

「では、次の段階に行きましょう」

 

 

おお!

ついに小学5年生の問題に!!

 

この4カ月、小学2・3・4年の問題を繰り返した。

そして今、コウスケはやっと自分の学年に追いついたのだ。

 

そう思っていると、岸本先生は一冊の参考書を差し出した。

それはどこか、私達がたいへん見慣れた色の参考書だった。

 

 

「次はこれを、同じ要領でやりましょう」

「ただし量は倍で」

 

 

渡されたのは、小学4年生の算数の問題集。

唯一違うのは、Vol.2であること。

 

つまり、問題文の国語レベルが若干難しくなっているだけ。

そして同時に、問題中の数字が変更されているだけである。

 

いわば、今までやっていることとほぼ同じ。

受験に必要な点数をもぎ取る勉強ではない。

 

 

しかし私には、その意味が良く分かった。

この数カ月間で、同じ問題を解かせる意味を理解しつつあったのだ。

 

問題文を変え、彼の思考回路は同じように働くだろうか

問題文の意味合いを、根本から読み取っていただろうか。

 

次は、これらを確認する時期だ。

そして与える量は倍、思考力だけでなく学習体力も増強しよう。

 

 

早速参考書を発注し、コウスケに手渡した。

VOL2をぼるにと読んだ彼は、なんだか嬉しそうだった。

 

~その⑪に続く~